ハッピーアワー・ハンター その3 あの草

日本ではとっても高価な”あの草”が、オレゴンではとっても安い。ぼくも大好きな、あの草が。心配しないで。あの草は合法だから。あの草を使えばラブ&ピースでハッピーになれる。そう、今回はそういう意味でのハッピーアワー。どうやってあの草を入手するか、そしてどうやって使うかを説明しよう。

まずぼくは日本での末端価格を調査してみた。日本では入手も難しい。そこらへんで簡単には買えない。ぼくのネットワークの信頼できる筋からの情報によると、1袋198円だそうだ。この”1袋”というのが何ミリグラムに相当するのかは判明していない。しかし、業界大手の「おうちでイオン イオンネットスーパー」さんの情報だからまず間違いないだろう。

オレゴンなら(というか、たぶん全米で)、そのへんのスーパーで普通に売ってる。SafewayでもWalmartでもFred Meyerでも、どこでも。値段は驚くほど安い。末端価格は一束たったの50セントほど。奮発してオーガニックを選んでも1.5ドルくらい。これはヤバい。中毒になってしまう。

賢明な皆さんはもうお気付きかもしれないけど、あの草とはもちろんCilantroのことだ。日本人にはパクチーという名前の方が通ると思う。日本では今ちょっとしたブームになってるらしいね。クセが強くて好き嫌いの分かれる味だけど、ぼくは好き派。ありがたいことにすごく安いから、インスタントラーメンに、カレーに、親子丼に(三つ葉の代わり)と、何にでも投入して楽しんでる。浅漬けにしても意外といける。それはアメリカに来て良かったことのうちのひとつ。

ぼくがパクチー好きになったきっかけは小学生の頃。父が時々連れて行ってくれる外でのご飯が楽しみだった。酒飲みだった父の行く店は、ラーメン、ホルモン焼き、串カツといったB級グルメや酒のつまみ系。子供って、そんなジャンクな食べ物が好きなもの。今の自分の味覚はこの頃の影響が大きいと思う。

そのお店があったのは、小さな印刷工場と民家が並ぶ、よくある大阪の裏通り。店なんてなさそうな雰囲気で、狭苦しいマンションの一階に作られた立ち食いのカウンターが湯気を立てていた。看板も何も出ていない。中には東南アジア系と思われる痩せたおじさんが一人。おじさんは全く日本語が話せなくて、だからかもしれないけど、メニューは一種類。たぶんフォーのお店だったんだろう。具もほとんど入ってないシンプルなものだった。卓上にはホットソース(たぶんSriracha)があって、「あんま入れへん方がええ。辛いで」という父の忠告を無視してけっこう入れた覚えがある。

初めて食べたフォー(らしきもの)の味は小学生の舌には新鮮で、「もう一回あれ食べたい」って父に頼んだ。でも、1ヶ月後に行ったら、お店はもう無かった。もしかしたら無許可営業とか不法滞在とか、そんなんだったのかもしれないと今なら思う。ネットもない時代。べつに家の近所でもなかったこんな店を、父はどうやって見つけたんだろう。

そこのスープは、なんだかクセのある味で、小学生ながらそのクセの強さにハマってしまったんだけど、それが何なのかはずっとわからないままだった。高校ではマクドか王将、大学では和民か魚民なぼくには、フォーを食べる選択肢はなかったから。

その味に再会したのは社会人になってから。自分で稼いだお金で多少はグルメも覚えて、タイ料理なんかも食べるようになった。そこでパクチーを食べた時、ああ、あの時のアレはこの味だったんだって気付いた。それ以来のパクチー好き。

長々とパクチー好きエピソードを書いてしまったのだけど、せっかくだからポートランドでパクチーを満喫する方法を提案してみようと思う。まずパクチーはスーパーで買おう。どこでも売ってるし安い。パクチーに合う料理といったらやっぱりタイ、ベトナム、メキシカン。ポートランドらしくフードカートで調達しよう。

あとはやっぱりビールが欲しい。実はポートランドにはフード持ち込みOKなブルワリーやタップルームがけっこうある。ダウンタウンにあるBailey’s Taproomもそのひとつ。常時20種類以上のクラフトビールが楽しめるBailey’sは、ビール好きでいつも賑わってるけど、フード持ち込みOKなことはあまり知られてない。フードカートの料理にスーパーで買った山盛りパクチーをトッピングして、クラフトビールで乾杯なんてどうでしょうか。


ハッパ好きはポートランドにおこしやす。
 
「夕焼け新聞」掲載記事より転載

Bailey’s Taproom

place 213 SW Broadway, Portland

time 毎日 noon-midnight

web WEBサイト

(503) 295-1004

夕焼け新聞
ポートランド・オレゴンの在日邦人、日系アメリカ人向け月刊フリーペーパー

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