飲みながら作る———BARDIYなのかDIYBARなのか

ありきたりな始め方をしてみる。ポートランドと聞いて何を思いつくだろうか。全米で住みたい街ナンバーワンだとか雨が多いだとか、クラフトビールにコーヒー、DIYやオレゴンの大自然といったところか。何がどうして住みたい街なのかはそれぞれがこれからじっくり考えるとして、雨季に突入し外出が億劫になりそうなポートランドでは今インドアアクティビティが盛んだ。

 

その1つが「作りながら飲める」お店。何を作りながら何を飲むのか。「クラフトビールを作りながらつまみ食いができる」と解釈した人は、きっとポートランドがあなたの住みたい街になるだろうと思う。
しかし、「作りながら飲む」とはつまりこういうこと——「ものづくりをしながら飲む」。言い方を変えれば「お酒片手にものづくりと友だちづくりをする」ということ。これを聞いてあなたの創作意欲がくすぐられるのなら、そこのあなたもポートランドに馴染むかもしれない。

 

遅ればせながら、お店の紹介をしたい。そのお店の名前は「DIY BAR」。
なんだよと、いかにもな名前ではあるが、その潔さは店内を見れば納得するだろう。
ここでは、レザーの財布やパスポートケース、ポートランドならではのグッズを自分の手で作ることができる。例えば、筆者はレザーで作る小財布のプロジェクトを選択したのだが、はじめは1枚の革片でもだんだん形になっていくのが楽しい。そのほか、色やアクセントなどカスタマイズができてまさに正解はない。また難易度別に様々なメニューを取り揃えているから大人もこどもも幅広く楽しめる。プロジェクトの詳細はこちらから確認してほしい。

窓に描かれた大きなDのマークが目印だ。

店内はまさに、小さな作業場でもなければバーでもなく、作業をつまみに片手にお酒、横を見れば会話が生まれ、その空間が両立している。
バーカウンターでの作業もよし、一期一会、隣と話しながらでもよし。作業を通して人とつながることもまた1つの楽しみと言える。いや、むしろその要素が強いかもしれない。

お酒を頼んで席に座ると、道具と材料が届けられる。

広々とした店内。狭い作業スペースであるばかりに不意にコップをひっくり返してしまう心配もない。

お酒の味も去ることながら、そのコストパフォーマンスにはただただ驚きだ。
値段は基本的にはプロジェクト代+ちょい飲みドリンク+サポートで39ドル(+チップ)だから手も出しやすく、作業にあたっての拘束時間はものにもよるが2〜3時間で時間的にもバッチリである。きっと満足のいくものを作ることができるだろう。そして何より、大人はお酒を飲めて、こどもたちも楽しめる環境だから嬉しい。

 

また、DIY BARというくらいだから「お酒を飲むだけはなし」なのかと思われるが、そうではなく「プロジェクトを注文せずに飲むだけも可能」だからこれも驚きである。逆に21歳以下は、アメリカではお酒を飲めないため作業のみの注文でも大丈夫だ。ただ、基本的には事前予約が必須であるが、インターネットで人数と時間を入力するだけで操作は簡単。加えてサイトはスマートで分かりやすい。
今回は「Craft + Sip(飲みながら) Session」というメニューを選択したが、他にもクラスレッスンの時間もあり、ものづくりが好きな人にはもってこいのラインナップである。予約が完了すればメールにあるルールを読んであとは行くだけ。
おっと、1番大事なこと。年齢関係なくIDは忘れるべからず。

 

そして、あっという間に濃厚な時間は過ぎる。完成したものは、3時間の中で言語の壁や狂った手元などいろんな壁を乗り越えただけにとても愛着のわく代物となるのだ。
そして筆者が選んだ小財布はレザーでもあるから長持ちもするし、ご存知のとおりアメリカはクレジットカード社会なので、小銭はポケットへ、紙幣とカード類はこの財布に、という配置が自ずと決まる。これで筆者もアメリカンスタイルへの1歩を踏み出せたのではないだろうか。いずれにせよ、実用的なのである。

これからよろしく、とあいさつをした。

ちなみに、今年の3月にオープンしたばかりで歴史はまだまだ浅いDIY BARだが、実は以前日本の雑誌に登場したことがあるのだという。日之出出版の『Fine(ファイン)』の6月号掲載のポートランド特集である。

なんとも目の付け所が粋な雑誌で、先を越されていたことについては触れないでおくが、やはりユニークな場所なんだと確信を得たのは事実だ。

肩を組む2人は兄弟でありオーナーでもある。

日之出出版『Fine(ファイン)』の2017年6月号。棚から取り出し見せてくれた。

「童心に戻りたい」大人から「自分らしいものを作りたい」こだわりの強い人まで。お酒を飲みながら仕事はできないが、お酒を飲みながら没頭できる作業はある。ほろ酔いでちょうどよく狂った手先を楽しんで、手より口を動かして、いや、口よりは手を動かして、他にはない自分だけのものを作りに行ってはいかがでしょうか。

インスタ映えも狙える、DIY BARを支える材料棚をバックに。作業が分からずに困っていれば、彼ら(写真右はオーナー兄弟の1人、左はスタッフ)は優しく助けてくれる。

DIY BAR craft + sip

place3522 North Vancouver Avenue Portland, OR 97227

time
月:closed
火 – 金:3pm – 6pm・7pm – 10pm
土:11am – 2pm・3pm – 6pm・7pm – 10pm
日:11pm – 2pm・3pm – 6pm
(各セッション3時間ずつ。予約の際に選択)

web WEBサイト

503-477-6090
craft@diybar.co
Facebook.com/diybar
Instagram: @diybarpdx
ディーアイワイバー 要予約・要ID

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