ポートランドでダックスのファンになる講座 Part3:ダックス今シーズンの分析レポート

アメリカにフットボールシーズンが到来して一ヶ月。全米中が自分の住む街に在るチーム、あるいは好きなチームを応援し毎週末熱狂している。

しかしフットボールが始まってわずか一ヶ月、ポートランドをはじめ、オレゴンに住むフットボールファンたちがいま騒ついている。

理由はひとつ、オレゴンダックスの半世紀に一度とも言える低迷だ。

今回は、今シーズンダックスが闘った5試合の分析と共に、これから迎える残り7試合の展望を見てみる。

毎週月曜はダックスの話で持ちきりになるこの時期、アメフトに興味のない読者の方もこの記事が日常での会話の種になれば幸いだ。

”2連覇もあり得る?”

さて、シーズン前の下馬評では7位にランクイン、西海岸のリーグ”Pac12”で昨年優勝したこともあり、注目校がpac12内にない今年、もしかしたら連覇もあり得るのでは?と期待されていたが、その期待を大きく裏切る形なってしまった。

pic1

初戦はホームゲーム。58,000人の大観衆で迎えたイースタンワシントン大学戦、格下相手だけに前半から連続でタックダウンを決め、大差で勝てるだろうと確信されたものの、今季最大の課題であるディフェンスの度重なるミスから失点。結果的には61-42で大勝したものの、点差以上に反省が多い試合だった。

ディフェンスラインのトップで来年のドラフト上位候補にも名を連ねているある選手からは”This is awful (これはひどい)” と一蹴された。

”天下分け目の戦い”

課題を多く残して迎えた翌週9月12日はロードゲーム。ミシガン州にて全米5位にランクインしていたミシガン州立大学との試合が行われた。この試合が今シーズンの大きな鍵になるだろうと言われ、全米中で注目を浴びた試合になった。

ちなみに昨年もこの試合が両チームの明暗を分けた。

昨年はダックスが劇的な逆転勝利を収めてそのまま波に乗り、全米2位でシーズン終了。プレイオフに進出した。一方ミシガンは、ダックスに負けたことが痛手となり全米7位でシーズンを終え、惜しくもプレイオフ進出を逃してしまったのだ。

つまり因縁の対決なのだ。

試合は点差が開いては同点、開いては同点と両者譲らぬままで進んだものの、オレゴンに一ヶ月前に編入した新クォーターバックとの連携が噛み合わず、結果的に28-31で敗戦する形になってしまった。

この試合をきっかけにミシガンは全米ランクで一気に2位に上昇、オレゴンは12位まで順位を下げ、暗雲が立ち込みだした。

年間12試合でプレイオフ出場チームを決める大学アメフトでは一つの負けが命取りになるし、一敗によってシーズンを台無しにしてしまった大学も少なくない。

ちなみにプレイオフへは全米の上位4チームが出場でき、その中から優勝校を決める。リーグ戦とはいえ、四つの席を争うサバイバルゲームなのだ。

pic2

さて話は戻り、ホームへ戻って行われた三週目はジョージア州立大学との一戦。この試合では昨年2番手で脇役に回っていたクォーターバックが先発。ダックス自慢の相手に準備させる間を作らずテンポを早めた攻撃(TEMPO-TEMPO-TEMPO)が見事に機能し61-28で大勝した。

去年から所属していたとはいえやはり2番手。重なる小さなミスもあり、新加入したクォーターバックと並び、”今年のクォーターバックはどちらが本物か”という疑問がファンの中で浮上した。

”シーズンの流れを一気に変えた一戦”

毎年いい試合をするものの必ず最後はダックスが勝ち切る試合が4週目にホームで行われたユタ大学の試合だ。

ここでまさかと思われるハプニングが起きた。

序盤から波に乗れないダックスは攻撃権をほとんど得られずユタの独壇場。

終わってみれば62ー20の大敗を喫してしまったのだ。ユタにホームゲームで敗戦するのは実に40年ぶりの出来事。チームも11年ぶりにベスト25から外れる形になってしまった。

シーズン4戦目にしてプレイオフはすでに絶望的になり、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などリーグ内の他大学の活躍もあり、リーグ優勝も危うくなってしまった。

pic3

先日行われた第5戦はコロラドへ移動してのロードゲーム。

悪天候の中試合開始が大幅に遅れなんと試合は夜の8時からスタートした。

前半はコロラドとほぼ互角、お互い譲らずの展開だったが、後半は完全にダックスのペースで41-24で勝利することができた。

5戦を終えて現在3勝2敗。リーグ内で6チーム中4位。

”なぜ常勝軍団であるダックスがこのような状態になってしまったのか”

(1) レギュラークォーターバックの不在

昨年までの三年間、ダックスはクォーターバックの”マリオタ”という今年のドラフトで全体の二番目に指名されたスター選手を中心にまわっていた。アメフトにおけるクォーターバックは車のエンジンのようなもの。いくら周りが揃っていてもクォーターバックが機能しなければチームは機能しない。

ダックスは三年間マリオタが投げて走ってでアメリカのトップに立ち続けてきたため、マリオタが抜けたチームに残ったのはほぼ未経験に等しい二人のクォーターバックと、新加入したクォーターバックの三人。

連携が噛み合わず攻撃に苦労しているのが苦戦している理由の一つと言える。

(2) ディフェンス陣の若さ

マリオタがオフェンスの要だったがためにダックスは攻撃型のチームに見えるが、昨年までのダックスはオフェンス以上にディフェンスに力があった。

結果的に昨年まで所属した四年生のディフェンスのうち四人がプロ入りを果たしたのだ。

だが、これがチームとしては裏目に出た。

昨年まで出場していた四年生たちは彼らが二年、三年生だったころから経験を積んでいた。つまり彼ら主体でチームが動いていたため彼らの下の三年生、二年生、一年生はほぼ試合に出る機会を得ることができなかった。

そして今シーズン、ディフェンスの八割は三ヶ月前まで高校生だった新一年生と二年生で構成されているのだ。

やはり名門ダックスの門を叩いたとはいえ彼らもついこないだまでは高校生。
格下相手に手こずっても仕方が無いと言えよう。

ポジティブに考えれば彼らが経験を積んで迎える2年後、3年後のシーズンには期待ができる。今年は痛みの多いシーズンになるが、長い目で見ればこれからのディフェンス陣には大いに期待できる。

では、今後観戦時は何に注目すべきなのか???

pic4

選手個人の能力だ。

チームとしては低迷しているものの、中にはプロ入りを目指して着々と準備している選手も少なくない。

少しマニアックではあるが、ここで3人のキーマンを挙げたい。

①背番号44 ディフォレスト•バックナー選手。

ハワイの名門プナホウハイスクール(オバマ大統領の出身校)の出身で現在四年生。ディフェンス陣を引っ張るチームの要。
今年のドラフト指名候補にも挙がったがオファーを拒否し四年目のシーズンをダックスで迎えた。来年のドラフト上位候補。身長2m, 体重130KG


②背番号21 ロイス•フリーマン選手

漫画アイシールド21でセナが務めたポジションと同じランニングバック。一年目の去年から試合に出続け、現在オレゴンダックスの斬り込み隊長になっている。チームの得点はほぼ彼のランによる得点。プロ入りはほぼ確実。現在二年生、カリフォルニア出身。180cm、105kg。


③背番号13 デボン•アレン選手

フリーマンと同じ二年生。実は彼は全米の110Mハードルチャンピオン。ハードルで生かした足を活かし、レシーバーとして活躍する。今年の元旦に行われたプレイオフ初戦に足を怪我して以来出場がなかったが、三戦目のジョージア州立大戦にて復帰。他のレシーバー陣の活躍もあり現時点では、今シーズンの出場機会は少ないが今後の彼の活躍に期待したい。アリゾナ出身 183cm、85kg


このように、個々の能力は全米でもトップクラス。試合を観る機会があれば是非この3人に注目してほしい。

ダックスの今シーズンの試合は残り7試合。スタンフォード、南カリフォルニア、UCバークレーなど強豪校との試合を残しており、ビーバーズ(オレゴン州立大)との地元対決も残している。

まだまだこれからますますの活躍が期待されるダックスに目が離せない。

読んでいただきありがとうございました。

Share This By

Popular Articles

ポートランドといえば、ランニングにサイクリング、ハイキングなど、スポーツ・アウトドアの盛んな街。 そんなポートランドだけにランニングイベントも多種多様。ポートランドの街を42.195km走り抜ける本格的なPortland Marathonから、思い思いのサンタの格好で冬のポートランドを走り、歩き、パレードするWE...

前編はこちら→オレゴンダックスの今シーズンを振り返る(10月〜11月第1週):前編 11月、ノリにノッてきたダックスは1ヶ月ぶりに本拠地ユージーンヘ戻ってカリフォルニアゴールデンベアーズ(UCバークレー)との一戦。連日の雨と寒さが続くもののファンたちが持つダックスへの熱さは夏から変わりません。 ...

短い短いカレッジフットボールのシーズンは名門アラバマ大学の優勝によって幕を閉じました。 今年はみなさん何度試合を観にスタジアム、あるいはバー等へ足を運ばれましたか? 私が執筆するオレゴンダックスについての記事も今回で第四弾になりました。いつも自己満足でとてもマニアックなネタばかりを書いていますが、私...

スーパーボウルは、年に一度のアメリカンフットボールの祭典。そんな祭典が、今週の日曜日に開催を控えています。ポートランドでも、スーパーボウルの開催が近くにつれてそわそわした空気が漂っています。今回は、日曜日に控えたスーパーボウルをより楽しむための予備知識を、Noren Portlandスポーツ部のShogoが紹介します。...

オレゴン州ユージーン市には、全米トップクラスの実力と人気を誇るオレゴンダックスの本拠地がある。ダックスはオレゴン大学のアメフト部だ。 ポートランド近郊に住んでいる方なら、アメフトに興味がなくてもユージーン市へ足を運び、試合を観戦する機会が一度はあるのではないだろうか? 自分の周りにも”ルールがわからなくてもおも...

『アメリカンフットボール』 日本ではまだマイナーなこのスポーツも、アメリカではNBAやメジャーリーグ以上の平均視聴率を上回るほど人気。 プロリーグ(NFL)の決勝であるスーパーボウルは国民の休日かのように皆が家に集まって試合を観戦します。チケット価格も破格で下は最低日本円で20万円から、最高価格は億を超えま...

オレゴン州といえば、様々な大企業の本社があることでアメリカ国民から知られているが、そのなかでも特に、クールなデザインと抜群の機能性、様々な有名スポーツ選手を起用した宣伝などで世界的な人気を博すスポーツメーカー「ナイキ」もダウンタウンポートランドから車で15分の場所に本社を置く。 実はこのナイキ、スポーツセールスだ...

プロバスケットボールリーグ(NBA)もいよいよシーズン終盤、我らがポートランドトレイルブレイザーズは惜しくもプレーオフで敗戦したものの、変わらずバスケへの熱と期待が高いこの街で1人の日本人が今日もNBA入りを目指して汗を流している。香東博也(こうとうひろや)、現在19歳、ポートランドコミュニティカレッジに通いながら学校...

ズンバは、サルサ,メレンゲ等のラテンスタイルとフラメンコ,レゲトン,ヒップホップ,ベリーダンス等のダンススタイルを融合させた、賑やかでダイナミックなカーディオダンスエクササイズです。 テンポのいい音楽にのって思いきり体を動かし、新しいステップを覚えるのは本当に楽しいひとときです。 今回は「のれんポートランド」の...

Have a nice day!

外が雨なら出かけよう、
ポートランドの魅力を伝える
WEBマガジン