Noren Portland読者の皆さん、こんにちは。ポートランドでフォトグラファーをしているKimiです。世界はコロナウィルスで大変なことになっています。でも、こんな時だからこそ、少しでも明るい情報をお届けできればいいなと思って記事を投稿します。もうすぐ6月。世界がいつも通りなら、結婚式を挙げる人が多くなる月ですね。
私はフォトグラファーという仕事を通じて、これまで多くの結婚式に携わってきました。その経験を生かして、ポートランドで結婚式を挙げたい日本の方のコーディネートもしています。今回は、私が携わった日本人カップルの結婚式の様子を通じて、ポートランドの魅力をお届けできればと思います。
まず最初にご紹介するご夫妻は、新郎のご家族がオレゴン在住ということで、奥様にとってはご挨拶も兼ねてオレゴンでの挙式をしたいと考えたことが切っ掛けでした。奥様にとっては初めてのポートランド。街の印象を尋ねると、「自然と都市が融合していて面白い街。ポートランド独特の人やお店が多い」と感じたそうです。
Q. 「自分らしい」式にできたと感じられたのはどういうところですか?
A. 幼い頃から大好きなオードリー・ヘプバーンが映画の中で着ているウェディングドレスと同じデザインのものを着られることになったので、新郎のタキシードや小物など、全体をクラシックな雰囲気にまとめました。スズランのブーケは母に手作りしてもらいました。挙式したマクリーン・ハウス(McLean House)のレトロな雰囲気とも相まって、温かみのある式にできたと思います。
日本で結婚式を挙げようとすると、まず結婚情報誌を買ってきて、式場に行って話を聞いてみようか…というところから始める方が多いですよね。それで式場に行くと、「いつ、どのくらいの人数で、予算はいくら?」というような話になって、二人のための式というよりは、みんなと同じ式をするための提案を、式場に勤めているプランナーがしてくれる、ということになりがちです。
日本には、独立して結婚式をまとめられるフリーランスのプランナーの数は、増えてきてはいますが、まだまだ少ないので、そういう流れになるのも仕方ないところではあります。
アメリカの場合、最初に選ぶのは式場ではなく、ウェディング・プランナーであることが多々あります。プランナーは、お二人はどんな人で、何が好きか? という問いかけから挙式を作っていきます。このご夫妻の場合も、「アンティークな雰囲気が好き」という何気ないご希望から始まって、お話をしていくうちに、奥様がバレエダンサーであることから、オードリー・ヘプバーンがお好きだということが分かりました(若い頃のオードリーはプロのバレリーナを目指していました)。そこから、「実はオードリーの映画のあのドレスが好きだったんです」となりました。
ちなみにオードリーのウェディングドレスは日本で作って、ポートランドへ送りました。日本から来られて挙式される方に、私はドレスは日本で用意されることをお勧めしています。もちろん現地でドレスを作ることもできるのですが、お直しにかなり時間がかかって、出来上がりまでに何度も通うことになります。また、日本のようなウェディングドレスのレンタルは、アメリカではほぼ無いと思っていただいた方がいいでしょう。
また、お話しをしていく中でお二人が好きなのは、アンティークの中でもシャビーシック調ということもわかりました。会場に選んだマクリーン・ハウスは、ポートランド近郊のウェストリン(West Linn)市にあります。
医師であったエドワード・マクリーンさんファミリーの自宅として1927年に建てられた歴史的な建物です。今はウェストリン市が所有、管理していて、結婚式以外にも色々なイベントに使われています。憧れのアンティークな邸宅が、当時の趣そのままに、綺麗に保存されている会場です。
Q. 挙式の中で「日本とは違うな」と感じたところはありましたか?
A. 挙式後にパーティーを行いましたが、家族だけだったこともあり、自由に話をしながら和やかな食事会のような雰囲気で出来たことが良かったです。
新郎新婦のご家族、ご親戚十数人でのお式でしたが、皆さんでワインを楽しみたいというご希望もあって、食事でご用意したのは、ワインにぴったりのフィンガーフードやおつまみ。チーズやサラミもローカルのものにこだわりました。もちろんワインは地元オレゴン産です。
もう一組ご紹介するのは、前撮りでポートランドにいらっしゃったご夫妻。前撮りとは、結婚式や披露宴の前に、気に入った衣装とロケーションで写真撮影をすることです。
Q. どうしてポートランドで撮影しようと思ったのですか?
A. 夫がスタンド・バイ・ミーの映画が大好きで、小学生のときに影響を受けてから、ポートランドに行くことが夢だったようです。付き合っていた頃に一度ポートランドに旅行に行き、私も大好きになりました。毎年行きたいくらい大好きな場所になり、是非ポートランドという環境で写真を残したいと思いました。
(Google image from Stand-By-Me)
不朽の名作映画「スタンド・バイ・ミー」はオレゴン州の街ユージーンの郊外で撮影されました。あの何とも言えないノスタルジックな雰囲気は、ポートランドも含めたオレゴン州が醸し出している魅力です。
ご夫妻にとっては2度目のポートランド。改めて感じたことは、「穏やかな空気が流れていて、街の皆が笑いかけてくれたり、せかせか急いでなくて、ポートランドで過ごすだけで心が穏やかになりますし、旅行で行っても全然疲れないし、むしろ、たくさんの幸せを吸収できる場所だと思います」。
Q. 撮影の中で感動した(印象に残った)のはどういうところですか?
A. 特に思い出に残っているのはセント・ジョンズ・ブリッジ(St. Johns Bridge)です。長い歴史があり、壮大で写真に残すと神秘的で思い描いていたもの以上でした。将来子どもを授かった際に、「ここでお父さんとお母さんは写真を撮ったのよ」なんて話してあげながら、もう一度3人で写真を撮ってほしいなという夢ができました。
セント・ジョンズ・ブリッジはポートランドの北の外れにある橋で、1931年に建設されました。写真でご覧の通り、誰もがはっと息を飲むような壮大な橋です。この橋は車だけでなく、歩行者や自転車も渡ることができます。
橋の下は市が管理する公園になっているのですが、許可を取ればイベントや写真撮影に使うこともできるんです。こんなに雰囲気のある橋の下って、なかなか無いですよね。私も大好きな場所です。
Q. 「日本とは違うな」と感じたところはありましたか?
A. 日本も日本でいいところはたくさんありますが、やはり人柄はポートランドの方のほうが明るく、すぐに声をかけてくれます。環境も壮大で大自然がいっぱいあるうえに、「おめでとう!」などと気軽に声をかけてくれる人たちもいて、その土地の人たちにも祝福されているムードがあり、とても嬉しく思いました。そういう環境はポートランドならではだと思います。
この写真を撮影したソヴィーアイランド(Sauvie Island)は、ポートランド中心部から車でわずか20分のところにあります。農園や自然公園が広がっていて、夏にはベリー狩りや農園での野外コンサートが楽しめます。都会から少し足を伸ばせばこんな自然豊かな場所がある。それがポートランドの魅力ですね。
ポートランドの街の中。パール・ディストリクトで撮られた写真もどうぞ。
今は世界が大変な時ですが、またポートランドに幸せなカップルが訪れて、式を挙げられる日が来ることを願っています。