ポートランドで「懐かしい」と思ってもらえる味のたこ焼きを「Buki」

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「本場の味で、やり方で勝負していく。」

日本だと屋台で必ず目にするたこ焼き。フードカートはアメリカ版屋台とも言えるが、数ある日本料理のカートでもたこ焼きを目にすることはこれまでなかった。
たこ焼きの知名度がまだまだ低いポートランドでは日本料理を扱う居酒屋でも冷凍されたものを油で揚げた「たこ揚げ」状態になっていたり、タコよりもイカのコストが安いため中身がイカで代用されていたりする場合もある。そんな中2人の作るたこ焼きは「外はカリッと中はふわっと。」ポートランドの人々に新たな感覚を味わわせた。

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「初めてたこ焼きを知ったのは、大学時代に日本からの留学生としたたこ焼きパーティーだった。大阪では本場のたこ焼きをたくさん食べたよ。」

Jack(ジャック)はワシントン大学在籍時、日本人の留学生とたこ焼きパーティーをしてその食べ物を知った。その後、大阪で大手アパレル系企業に就職、本場のたこ焼きに触れることになった。

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「まだ誰もやっていないことに挑戦したかった、挑戦しないくらいなら挑戦して失敗しても再挑戦すればいいと思ったんだ。」

アメリカに戻ったジャックはポートランドに数あるフードカートの中に「たこ焼き」のフードカートがないことに気づく。そのチャンスが訪れるとすぐさま親友のウィリアム(William:写真左)とお店をスタートさせた。

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「今の仕事はこれまでのどんな仕事より多く未知の困難にぶつかる、大変だけど僕は間違いなく言えるよ。この仕事を愛している、大好きだってね!」

これまでに経験のないフードカートビジネス、直面したことのない困難を必死に乗り越える中で築いていたのは、ビジネスに収まらない関係性と働くことへの喜びだった。

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「食の街、ポートランド」そう呼ばれる所以は様々な食文化が入り混じり、また互いがそのレベルを高め合っているから。日本食もまた多く見受けられる。旅行の場合は少ないかもしれないが、長期で滞在するとなるとついついその形が、味が恋しくなってしまうもの。かくいう僕、Tsuboもその一人だ。

ラーメン、寿司に天ぷらとメジャーどころに加え、日本では逆にあまり見かけない「テリヤキ(ごはんの上にチキンとソースがかかったもの)」が全体の大半を占める日本食のイメージの中、たこ焼きや焼き鳥といった屋台で必ず見かけるような料理を目にすることは少なく、レアな食べ物のイメージが持たれていた。
今回紹介する「ブキ(Buki)」はそのまだ手をつけられていない点に目をつけた。

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オーナーの一人であるジャックは台湾生まれで幼い時にポートランドへ移り育った。大学はワシントン大学で国際関係学を専攻。語学は日本語を専攻していたため、日本人の留学生と触れ合う機会は多く、たこ焼きにもその時初めて出会った。卒業後、国際採用プログラムで日本企業に就職。ビジネスやマネジメントを学ぶとともに、勤務地が大阪だったため本場のたこ焼きを食べる機会にも恵まれた。

働き初めて2年が経った頃、ポートランドに戻ることを決意、たこ焼きのフードカートを出すことを決めた。理由は至ってシンプル。

「たくさんあるフードカートだけど、たこ焼きのお店を見たことはなかった。自分たちが始めれば1号店になれると思ったんだ。フードカートの経験はないけど、とにかくトライしたかった。失敗したら他のことに再挑戦すればいいと思っていたよ。」

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夢を抱いてスタートしたが現実は甘くはなかった。たこ焼き屋で働いた経験はなく、日本で食べた味、聞いた話を元にして試行錯誤し作るしかなかった。更にはたこ焼きを作れるようになっても、ここ数年で更に加速したフードカートブームの中でお店をオープンするチャンスを得ることは容易ではなかった。お店を経営したことのないジャックに機会を与えられることはなかったという。
苦闘する中、気分転換で立ち寄ったHapa ramenでマイクに出会ったことがきっかけでお店をオープンすることになるのだけど、そこでの詳しいエピソードはクロストーク編で紹介するとしよう。

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お店は2014年、サウスイーストのディビジョンストリート(Division St)の「Tidbit Food Farm and Garden」内にオープンした。ダウンタウンからは4番のバスで行くことが出来る。

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「Buki」の名前の由来は台湾発祥の「バブルティー」と日本の「たこ焼き・たい焼き」をメイン商品にしようと考えていた時、二つの名前から一文字ずつ取って生まれた。ポッと出で生まれた名前は、「arm with deliciousness(「”武器”という意味にかけて作ったスローガン」)」や笠を被ったサムライ風のお店のロゴにも表れている。

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メイン商品の「たこ焼き(Takoyaki)」の値段は8個入りでオーソドックスなタコが入った「オリジナル(Original):$7」か、ソースとかつお節の代わりにスパイシーマヨネーズとキムチをトッピングに食べる「ボルケーノ(Volcano):$6」の二種類。

日本のものと比べると少し高いって思うかもしれない、でもそこは外観と中身にこだわっているからこそ。「Help visual presentation」とジャックが言うように外観にはこだわりがある。最近では日本でもあまり見ないような「bamboo boat(笹の船)」の容器はアメリカのお客さんにも人気で食べ終わった後に入れ物の写真だけを撮る人もいるほどだ。

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中身にも抜かりはない。外はカリッと中はふわっと作り上げられるための素材は日本産にこだわっている。「Hapa ramen」のオーナー、マイクからの紹介で仕入れ会社を決めており、マヨネーズやソースも日本のものだ。

出来立てへのこだわりも日本風。たこ焼きはオーダーが来てから作り始めるため、オーダー後、10〜15分の時間が必要になる。風味が変化するため「持ち帰り(To Go)」も基本、持ち帰ってもすぐに食べてもらえる近所の人のみだ。

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「アメリカの人が僕たちのたこ焼きを食べて、たこ焼きのことを知り、また次の人に伝えてくれるんだ。こうした関係はすごく大事だと思っているよ。また、たこ焼きの味を知っている人や日本人に“美味しい”とか“なつかしい”って言ってもらえると自分たちは良くやれているんだって感じられてたまらなく嬉しいね。」

Bukiではデザート、ドリンクも忘れてはいけない。食後は甘いものが欲しくなるもの。

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折角、たこ焼きを食べたのならたい焼きも。1個($3.5:2個セットの場合$5)で一番人気のあんこを含め3種類。縁までしっかり付いてくる粒あんのあんこも美味しい。

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Bukiのもう一つの主力商品である「バブルティー」は暑い夏のシーズンにはたまらない。こちらはジャックの生まれた台湾流のオーダーを大切にしている。値段は$4一律で「お茶の種類」「ミックスするミルクの種類」「甘さ」と3つの項目を自分でチョイス出来るようになっている。

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ジャックとウィリアム、二人の挑戦はまだまだ始まったばかりだが期待されるところは大きい。
「お好み焼きや焼き鳥はいつ始めるんだってよく言われるけれど、お店のスペースが無くて、やりたくても出来ないんだ。だから上手くいけばもう一台カートを買いたいと思っている。そしたらもっと多くの屋台料理を始めることができるね。さらに将来的には自分の店舗をオープンさせることと、料理を通して異文化交流が出来ればと思っているよ。」

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お店とお客という関係でビジネスとして成り立たせるのを第一に置くのではなく、目指すはもっと近くで親身に味わってもらえる関係性。お店を訪れたならぜひその料理の味だけでなく、見た目、雰囲気も味わって欲しい。そして感じた何かがあったなら、ジャックは日本語も堪能なので無理に英語を使わずに彼に伝えてみてもらいたい。
きっとそれはあなたが彼らの想いに触れられる時間になるとともに、彼らにとっても次の挑戦に役立つ大切な時間になるはずだ。

フードカートに対する考え方やビジネスのメリットについてはクロストーク編にて、ぜひ合わせて読んでもらえるとありがたいです!

Buki

place2880 SE Division St, Portland, OR 97202

time 水 – 日 : 11am – 8pm, 月火 : closed

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電話番号:(360) 931-1541
その他:Wi-Fi 無、営業時間変更有(Facebookページをチェックしてください。)

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Masaki & Miki

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