日米双方の素材を引き出した一杯のラーメン、「Hapa PDX」

「お持ち帰りは無しでお願いします。」

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近年、アメリカではラーメンブームが起きている。人気は「豚骨」。こってりとしたその味は薄味であることの多い、醤油、塩に比べ舌に合いやすく、あっという間にアメリカ人を虜にした。そんな中、男がオススメするのは「醤油」。多くのアメリカのラーメン店が「どこか物足りなさ」を感じさせる中、彼のラーメンは日米両方の食材を使い、醤油、さらにはつけ麺とラーメン人気の幅を広げている。

「母の手作りの日本食料理が、僕に日本への興味を持たせるきっかけだった。」

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子どもの頃から慣れ親しんだ日本食、中でも大好物はビーフカレーだった。子どもの頃から食べ慣れた麺を今でも自分のラーメンで使っている。

「東京のお店で修行した経験が醤油とつけ麺に出ているんだ、ただそれ以外のラーメンも今、試行錯誤しているよ。」

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東京のお店に弟子入りして学んだ深みのある味の醤油ラーメンに、他にやるお店のなかったつけ麺、人気の豚骨とお店の看板メニューが定着する中で、男は新たなラーメンの製作に挑んだ。

「ラーメンのイメージは変わってきている、多くの人を出来立ての一杯で満足させたい。」

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アメリカ人のラーメンのイメージを、夜食や多忙な際のチープでインスタントのカップラーメンから、思考を凝らした満足の出来る一杯のご馳走へ。夢はお持ち帰り無し、自らのお店で味わってもらうこと、変わらない本場の味を作り出すことだ。

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「ハパラーメン(Hapa ramen)」のMichael(マイケル:以下マイク)は日本人の母とアメリカ人の父の元にハワイで生まれた。日本に触れるきっかけになったのは北海道出身の母が作る日本料理。大好物はビーフカレー、毎回決まってお代わりをするほどだった。ラーメンに出会ったのもこの頃、ハワイにある日系企業の麺が使われたそのラーメンはマイクの懐かしの味だ。

お母さんの影響もあり、日本に関心を持ったマイクは、その後英語の講師として日本で就職した。多くの日本の味に触れ、日本の食の魅力にはまっていく中、ラーメンを作るきっかけになったのは奥さんであるサラさんがラーメンのお店を開きたいと言ったことからだった。

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「もし美味しいラーメンを作りたいなら東京の職人につくり方を教わるほかない!」
ラーメン店を開くと決めたものの、なかなか上手くいかず悩むサラさんにマイクは東京での修行を勧めた。彼女が師事したお店の職人は彼女に醤油ラーメンの作り方について基礎からテクニック、仕上げの盛り付けまで丁寧に教えてくれたという。

「俺たちの一番のオススメは醤油だ。最も味に深みが出ていると思うよ!」

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本場で仕込まれた醤油ラーメンはマイク一番のオススメ、鶏肉と複数の魚介類を使い、8〜9時間かけて作り上げる、スープが透き通っていて、あっさりとしているが味に深みがあり、思わず飲み干してしまう。多くのアメリカのラーメン店のスープで感じさせられる何か物足りない感じがここにはない。

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「卵は日本産、栄養価を示す黄身の色の濃さがアメリカのものとは全然違うんだ。メンマやかまぼこも日本から仕入れているよ。具材が変われば味も変わってしまうからね。ただチャーシューはポートランドのものを使っているよ。チャーシューは1日しっかりタレに漬け込むんだ。ラーメンの中で上手く引き立て合わせることはすごく難しい。多くのお店はロイン(腰部)の肉を使っているけれど脂肪部分が切り取られているんだ。」

このチャーシューがとても美味しい。話を聞くまで日本のものを使っていると思っていたほど、ラーメンとしっかりマッチしているし、ぜひぜひチャーシュー麺やチャーシュー丼を出して欲しいところ・・・。

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麺は冒頭でも話したようにマイクが子どもの頃から食べ慣れたもの。アメリカでは乾麺や、太麺でも伸びきってしまったようなものが多いが、Hapa Ramenの鮮やかな黄色の太麺はスープと良く絡み、思わず美味いと感じさせる。

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僕が個人的にオススメしたいのが、このチャーシューと麺が活かされた「Shaka Bowl(つけ麺)」。 2014年の夏に行われたフードカートフェスティバルでグランプリを取った一品だ。何よりもまず海外でつけ麺を見ることが少ない。「つけ麺」って発音が海外の人には難しいらしく、サラさんは「シャカボール(Shaka Bowl)」と名付けた。「旨味」を生み出す秘訣は「酢」と「お酒」、麺を食べ終わったらスープの「お湯割り」も用意しているのだけれど日本人以外はやっぱり知らずにそのまま飲み干してしまうそう。

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マイクのフードカートの裏には多くのメッセージが書き込まれている。その多くは日本人のもの。ネットでもお店の評判は高いのだけど、こうやって直に書かれたたくさんの感想が味はもちろん、お客さんとの強い関係も示している。フードカートにはこの関係性が大切らしいのだけど、詳しい話は「クロストーク編」で。

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お店はもちろん日本人以外にも人気で、お店のあるサウスイーストのディビジョンストリート(Division St)の「Tidbit Food Farm and Garden」(以前紹介した「Buki」と同じ)にはHapaのラーメンを食べるために来る人がとても多いとBukiのオーナーのジャックも話していた。
本場で学んだ醤油と海外で人気の豚骨に他のお店にはないつけ麺、それだけでも十分なのだけど、マイクは今新たな味に挑戦し始めている。

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マイクのお母さんの故郷である北海道が本場の「味噌」だ。これまでも味噌ラーメンを考えてきたがマイクがどうしても外せないと考えている素材があった。
見た目にも味にも欠かせない食材の「バター」である。他の味のラーメンには使うことのない食材、行き詰まる製作の中、男の名はジェイソン(Jason)。Hapaの一員に加わった彼は日本食レストランで勤めていた経験を生かして味噌ラーメンに合うバターをマイクと一緒に作り出した。

写真:E TOP写真

次なる挑戦は「塩ラーメン」の完成、現在も販売はしているのだけれど、塩ラーメンに合う麺の開発をしていきたいとのこと、現在は全ての味を追求していっているマイクだが、将来の夢は自らのお店を持ち、そこで本物のセラミックのお椀に自らが納得出来る一杯を餃子と共に出すこと。現在1日に複数種類出している味も1、2種類に絞り、本場と変わらない味を作り出す。

写真:F

「お持ち帰りはなしで、出来たての一杯を楽しんでほしい、そのために今も毎日練習しているよ!」

マイクのラーメンの美味しさはもちろん、その素敵な所は人情味溢れるその人柄。Bukiのオーナー、ジャックは「マイクがいなかったら今の僕はいなかった。」と話してくれたけどそのエピソードは「クロストーク編」で。
3分で出来るカップラーメンではなくたとえその倍以上の時間がかかってもラーメン屋さんに行く意味を僕はここで思い出した。

Special Thanks: Masaki, Miki

Hapa ramen

place2880 SE Division St, Portland, OR 97202

time月 – 金 : 11am – 2:30pm,5pm – 8pm 土: noon – 9pm 日: noon – 8pm

web WEBサイト

電話番号:(503) 560-0393
その他:Wi-Fi 無

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