世界に誇るオレゴンワインvol.1:Ken Wright Cellars

オレゴンワインは1979年にブルゴーニュをおさえて最高級のピノ・ノワールの評価を獲得した。今回はオレゴン4大ワイン産地のひとつウィラメット・バレーにあるワイナリーKen Wright Cellars Wineryで働くMisuzuさんからワイナリーの紹介とワインビギナーの方にも分かりやすくワインについての解説をして頂きました。Noren発足当初に紹介したPenner-Ash Wine Cellarsも合わせて読んで頂くと、よりオレゴンワインの素晴らしさを実感してもらえるでしょう。

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Ken Wright Cellars Wineryのケン・ライト氏は『オレゴンのマスターオブ ピノ・ノワール』と呼ばれる有名なワインの作り手であり、オレゴンのワイン作りに多大な影響を与えた人だ。30年前にはオレゴンではほとんど行われていなかった「ソーティング(選果)技術」や「Vertical Shoot-Positioning(支柱やワイヤーを使って主枝を水平にワイヤーに固定し、新梢を垂直に伸ばすブドウの木の仕立て形)」などを率先しておこなった方でもある。

彼のワインの中でも“Ken Wright’s 2012 Abbott Claim Vineyard Pinot Noir”はアメリカの有名ワイン雑誌「Wine Enthusiast Magazine」において2014年世界トップ100リストの中でナンバー1に輝いた実績がある。

Outline

基礎編
ケン・ライト氏がカールトン(Carlton)の街にワイナリーを開いた理由
ケン・ライト氏のワイン作りへの姿勢
Ken Wright Cellarsのワインの種類

ワイン好きのあなたへ
ピノ・ノワール12種類全て味が違う理由
ワインの一般的な保管方法と熟成期間
Ken Wright Cellarsのワインにお薦めの料理

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~ケン・ライト氏がカールトン(Carlton)の街にワイナリーを開いた理由~
カリフォルニアでワイン作りをしていた彼は1985年、家族と共におんぼろのトラックにカヴェルネ・ソーヴィニオンとメルローの入った10個の樽を載せてオレゴンにやってきた。当初はマクミンヴィル(McMinnville)で共同経営者と共に「パンサー・クリーク」というワイナリーを経営していたが、その後1994年にカールトンに自身のワイナリーを開いた。

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カールトンは雑誌などでは「Heart of Pinot Noir(ピノ・ノワールの中心)」と言われる穏やかで平和な街。小さな街の中にワイン作りに適した要素がギュッと詰まっている。だから彼はここにワイナリーを作ろうと決めたのだ。

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~ケン・ライト氏のワイン作りへの姿勢~
「素晴らしいワインはワイナリーではなく畑で生まれる」と言うのが彼の考え方。
ワイン作りを成功させる秘訣はどれだけ表現力があり、複雑なブドウを育てることができるかということにある。そういうブドウが育つ最適の場所を見つける事が一番大事で、その後は畑(土壌)をどうやってコントロールしていくかが重要。ブドウはただ単に成熟すればいいと言うのではなく、フレーバーなど全ての必要な要素が乗らなければ美味しく、複雑味を持つワインは出来ない。

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例えば今年のように暑い年(暑いヴィンテージ)のブドウは早く熟しすぎてしまうため色づきが始まってから収穫までの期間(hang time)があまりにも短いとフレーバーがしっかり乗ってこない。その為暑いヴィンテージの場合はフレーバーなどがしっかり乗るまでできるだけ収穫を待つ。しかし待ちすぎてしまうとレーズンのようになってしまうのでタイミングがとても難しい。ケン・ライト氏はピノ・ノワールのアルコール度数について12~13%くらいを目指している。しかし暑いヴィンテージだとそれ以上になり、ピノ・ノワールが本来持つフレーバーを感じることができなくなってしまう。自分自身でブドウを食べ、しっかりフレーバーが乗っているかチェックしながら絶妙なタイミングで収穫をする。

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【Misuzuさんによる簡単テイスティング講座】
テイスティングルームでワインをテイスティングする一番の目的は自分好みのワインに出会うこと。
ソムリエなどがしているようなワインテイスティングとは別物。マナーとしては香水、ボディクリーム、ハンドクリームなど香りの強いものを身に付けていかないこと。口紅などはテイスティングする直前に塗り直したりしない方が良い。他のお客様もみなさん試飲して自分のワイン探しをしているので、その迷惑にならないように気を付けることはとても大事。

簡単な試飲方法

1. 目で確認(see):テイスティングルームでは年代の分かっているワインが出されるので本当は斜めに傾けて縁の色を見るという作業はしなくてもよい。目で確認するというのは浮遊物などがないか、ワインがクリーンかどうかをチェックする。

2. 香りを確認(smell & swirl):ここでワイングラスをクルクル回すのですが、上手に回せなくても構いません。でも「どうしても上手に回したい!」という方はまずはグラスを机の上で回す練習から始めて、徐々に机から離していくとスワリング(回す)ができるようになってくる。実際にMisuzuさんも20歳で初めてワインスクールでワインを飲んだ時にはグラスを回せず、何度も練習したそうです。回す際は必ず自分に向かって回す、『内回し』で。外回しにしていると他の人にかかってしまう可能性があるため。
香りを確認する際にはブショネ(コルクの汚染が原因でバクテリアに汚染された状態のワインのこと)や酸化しているかどうかを確認することが重要。基本的にテイスティングルームではスタッフが必ず事前にチェックしているので大丈夫だが、まれにそういったワインに出会うこともある。もし何か変な香りがしたら、その時は恥ずかしがらずにスタッフに聞いてみるとイイです!

3. そして最後に口に含む(sip):果実味、酸味、渋み、そして余韻を確認。

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トータル的に自分好みの味わいか、どんなお料理と合わせて楽しんでみようかなど色々イメージしてみて、ワインの価格が自分の予算とあえば購入し、お家で楽しんで飲んでください!

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~Ken Wright Cellarsのワインの種類~

1. ピノ・ノワールの単一畑(シングルビンヤード)12種類。
2. シャルドネ
3. ピノ・ブラン
4. ピノブレンド:色々なヴィンヤードのものをブレンドしたもの
5. デザートワイン:カヴェルネ・ソーヴィニオンとカヴェルネ・フランのブレンド
*ポートワインはアルコールを途中で加えて発酵をストップさせて作る。しかしKen Wright Cellarsのデザートワインはアルコールを加えるのではなく、水分を抜く機械を使ってブドウの水分をできる限り抜き糖度を高くさせ、その後発酵させてアルコールをある程度のところでストップさせる。そうすることで糖度の高い、甘いワインができる。
6. TEラベル(Tyrus Evan)のクラレットワイン。このワイン用のブドウはワシントン州から購入。クラレットとは、ボルドースタイル(複数の品種をブレンドして作る)のブレンドワインでカヴェルネ・ソーヴィニオン、メルロー、カヴェルネ・フラン、プチベルドーの4種類をブレンドして作っている。
7. シラー

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~ピノ・ノワール12種類全て味が違う理由~
それぞれの畑において標高、日照量、畑の斜面の向きなどすべて違うが決定的な違いは『母材(Parent Material)』が違うこと。これが味に一番影響を与える。
母材とは土壌の一番下の部分のことを言う。彼は母材のことを『マザーロック(母岩)』と呼ぶ。そこには複雑なミクロ、マクロ素材、例えばカリウム、カルシウム、リン、銅、鉄などを多く含む部分である。またブドウの根が張っていく土の層のことはA,B,C層と呼ぶ。植えたばかりのブドウの木の根はA層くらいまでしか達しないが、やがて年月を経つにつれてB層、C層と地中深くに徐々に進んでいき、最後に到達する場所が母岩となる。母岩まで根が到達して初めてブドウに複雑味やアロマやフレーバーがしっかり明確に伝わる。

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彼の畑のブドウは基本的に全て母岩まで到達している。カールトン辺りは『海洋性土壌』でエオラ・アミティ辺りは『火山性土壌』なので味が異なるのである。別々の畑でできたワインは全く別の味になるため彼のピノ・ノワールは全て違う味わいになる。

~ワインの一般的な保管方法と熟成期間~
理想の保管状態は55F(約13℃~15℃)湿度70%、振動が一切なく、できるだけ暗い場所、そして異臭のあるものを近くにおかないで保管すること。コルクが異臭を吸ってしまう可能性があるため。ワイン保管用の地下室などが無い場合はワインセラーで保管するのが良い。Ken Wright Cellarsのワインは種類によって、また保管状況によって何年寝かせておけるか変わるが、基本的には約3~10年保管することができる。

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~Ken Wright Cellarsのワインにお薦めの料理~
火山性土壌(Volcanic Rock)のピノ・ノワール:フルーティーな香りが特徴なので魚介類などさっぱりとした軽めの料理(夏の料理)と相性が良い。オレゴンで言えばやっぱりサーモン!
堆積土壌or海洋性土壌(Sedimentary or Marine Sediments)のピノ・ノワール:スパイシーやフローラルなどの香りが特徴なのでポークロインとワイルドライスなどもう少し重めの料理(冬の料理)との相性が良い。
でもこれはあくまでベースの話であって、ヴィンテージによっては変わってきたりする。

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ワイン好きの私、Fumikoとしてはこの取材を通してさらにピノ・ノワールの奥深さを知ることができ、記者冥利につきる楽しい取材でした。この記事を通して、皆さんにオレゴンのワインをもっと知って頂けたら嬉しいです!

Ken Wright Cellars Winery

place 120 N Pine St. Carlton, OR 97111

time 日 – 木 : 11am – 5pm, 金– 土 11am – 6pm

webWEBサイト

TEL:503-852-7010

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