ポートランドのお茶文化vol.2 変わらない味と、変わりゆくあり方。

最近は日本食でも「アメリカナイズ」された食べ物をよく目にする。
カリフォルニアロールなんてまさにソレ。
あれはあれで美味しいのだけれど日本の「寿司」とアメリカの「Sushi」は全くの別物。

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でも、異文化に進出していくには、現地の人々の生活感覚やニーズを知り、取り入れる必要がある。
だからアメリカナイズしていくことは基本中の基本。

じゃあアメリカには「ザ・に!ほ!ん!」みたいなものなんて通用しないのか?

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もちろん日本の居酒屋がそのまま引っ越してきたようなお店もあるし、日本の味をそのまま伝える日本人経営のお店もたくさんある。問題なのは、自分の国のものを100%主張してしまうと、最初はウケが良くても、徐々にみんな自分の馴染のあるものを求めたくなる。つまり、「珍しいもの」という概念が消えず、「日常的なもの」になるのは難しい。

大切なのは、異国の地でどの様に「“うまく’’アメリカナイズされているか」=「“本質を変えないで”その土地のモノになりえるか」であると思う。

今回はそんな中で見つけた、ポートランドのとあるお茶屋さんの物語。

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取材に訪れたのは平日のお昼過ぎ。
アートなお店や人々が集まるアルバータ地区。

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「Tea Bar」という名のバースタイルのお茶屋さん。
何とも斬新な響き。

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開放感溢れるデザインとモダンなインテリアが、ここがお茶屋さんであるということを忘れさせる。

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出迎えてくれたのはこのお店のオーナーであるエリカ。

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3ヶ国語を話し、世界を旅してまわってきた、筆者と同い年の23歳。
「Tea」と「Bar」というのも、旅を通して得たアイディア。

「お茶はコーヒーのように、すぐに強いカフェインを感じないの。ゆっくりと体に染みわたって、心を落ち着かせてくれる。それによって色んなことに気づいたり、感じたり、考えることができる。一杯のお茶でその人に特別なフィーリングや時間を届けたい。」

小さい頃からお茶と共に育ってきたエリカ。
お茶は体と心を癒してくれる、なくてはならないものだと語る。

そんなオーナーがおススメする、このお店を代表する飲み物がこれ。

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Matcha Latte(左)と London Fog (右)

Matcha Latteは丁寧に点てられたお抹茶を使用。ほのかな甘みの後からくるお茶の苦味。….うまい!                         
London Fogはアールグレイとラベンダーをブレンドしたお茶ラテ。基本お花風味のモノが苦手な筆者だが、口の中に残るのではなく、鼻から抜けるラベンダーの香りに感動。

甘さではなく、本来の味が存分に引き立っている秘密はシロップにある。
両方ともオーガニックのAgave(リュウゼツラン)から採れるシロップで甘味をつけている。

そう言えば、ポートランドでは「Matcha」という言葉をかなり耳にする。
筆者も色々な国を旅してきたが、お茶を表す時に使われるのは大抵「Green Tea」だった。
ポートランドのお茶文化が進んでいるというのもあるけど、ちゃんとその国の名前を使うということに、敬意のようなものを感じる。さすがポートランド。

先ほど紹介した Matcha Latte に使われるのはこちら。

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抹茶粉は100年の歴史を誇る、宇治のお茶専門店から輸入している。
もちろんお茶道具もしっかりと揃うので、お抹茶もぜひ味わってみてほしい。

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それから、壁にずらりと並ぶ「Kombucha」に注目したい。
名前は同じだが、日本の昆布茶とは味も見た目も違う。昆布は一切使用していない。

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説明をすると長くなるので、シンプルに説明すると紅茶キノコと同じもの。
なんで「Kombucha」と呼ばれるようになったとかそういったことは、また近々 Kombucha 特集で。

ここの Kombucha はワシントン州にあるオリンピアからお取り寄せ。オリンピアの井戸水から作られており、わずか3グラムの砂糖しか含まれていない。それによって、ものすごく軽いリフレッシュ感が生み出される。

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抹茶と共に食べたいブレッドやスイーツも充実。どれも美味しそうで選ぶのが難しい。

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このお店の常連だというカリナに話を聞いてみた。

化粧品関係の商品を取り扱うオンラインストアのオーナーである彼女。ラップトップを持ってきて、よくここで仕事をするんだとか。

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「こんなに落ち着ける場所で美味しいお茶を飲みながら仕事をしてると、ついつい長居しちゃうわ。」と微笑む。

Wifiもコンセントも常備してある店内は、確かに仕事や勉強をするのに最高だ。

でも忘れてはいけないのが「Tea Bar」の「Bar」の部分。

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日本で本格的なお茶屋さんと聞くと、「和」や「しきたり」をよくイメージするが、このお店ではお茶を片手に周りと会話を楽しむバースタイル。

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ぜひ一人で来て、お茶を一杯 “ひっかけて” みてほしい。
フレンドリーなバリスタさんとお茶について熱く語ってみてはどうだろう。

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筆者も取材に来ただけのはずが、心地よい雰囲気の中に浸り、会話を楽しんだ。
「お茶」と「バー」の融合が、まるで時間がとまったような空間を創り出す。

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ここアメリカでは「日本食」と「健康志向」がブームの中心。
エリカも言っていた通り、お茶は体も心も癒す効果を持つ、健康的な飲み物であると定義づけられている。

そもそも中国から日本に伝わってきたお茶も、始めは薬として考えられていた。
当時の庶民達の生活に根付いていくには時間がかかったが、お茶は今や日本人を表す文化そのもの。
そう思うと、ポートランドのお茶文化も、ポートランド独自のスタイルで受け入れられつつある。そしていずれ、アジアのお茶文化が西洋の文化へと深く定着していくのかと思うとなんだか面白い。

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お茶本来の持つ苦味や深みがアメリカ人の舌に合うとは驚きだった。でも、日本の味が多くのポートランダー達の生活の一部になっているのは、彼らと文化を共有しているみたいで嬉しくもある。こうやって、日本の味がポートランドの人々たちに愛され、「バースタイル」というアメリカンな新しい形で広まっていくのだ。

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これからもそんなお茶を愛する日本人として、ポートランドのお茶文化を伝えていきたい。

Tea Bar

place1615 NE Killingsworth St, Portland, OR 97211

time月 – 日: 8am – 8pm

web WEBサイト

TEL:(503) 477-4676
その他:Wifi あり

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