• バスケットボール選手

  • Hiroya Koto

  • INTERVIEW

  • Writer Shogo

  • Editor Tsubo

日本のレベルはどこまで通用するか、19歳の若き戦士の挑戦

プロバスケットボールリーグ(NBA)もいよいよシーズン終盤、我らがポートランドトレイルブレイザーズは惜しくもプレーオフで敗戦したものの、変わらずバスケへの熱と期待が高いこの街で1人の日本人が今日もNBA入りを目指して汗を流している。香東博也(こうとうひろや)、現在19歳、ポートランドコミュニティカレッジに通いながら学校のバスケットチームでプレーしている。

バスケットボール選手といえば、かの有名なマイケルジョーダン氏やレブロンジェームズ選手など「巨人」のイメージが印象的だが、彼はわずかに身長170cm前後。はじめは、唖然としたが、小さな体から溢れる自信とパワーは他の大きな選手たちに負けていないものだと思った。

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会った直後からニコニコしながら「今日はよろしくお願いします、こんなぼくのために記事を作ってくださってほんまにありがとうございます」と記者の私に対してもスポーツマンらしい敬意を持っていただき好感を得た。

大阪で生まれ、小学校からバスケットボールに打ち込み、高校を卒業するまでは定期的にアメリカを訪れ経験を積み、かの有名なスラムダンク奨学金のファイナリストにもなった。そして、現在アメリカのカレッジでプレーする彼はまさにエリート。そんな彼がどのような経緯で、なぜ数ある街の中からポートランドを選んだのか、さらには1年目のシーズンを終えた実感と課題について今回は迫った。

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Nまず最初に、渡米前の日本での活動内容を教えてください

Hiroyaバスケを本格的に始めたのは小学校高学年の頃で、中学へ入学した後にサンフランシスコで開催された日米親善試合に参加したときにアメリカでバスケがしたいと思うようになりました。中学在学中に「アメリカでバスケをする」という具体的な目標が見つけられたので国際科のある高校に進学し、英語を勉強しながらクラブチームでバスケを続け、高校卒業後についにアメリカでプレーするチャンスを得ることができました。

N中学、高校時代から海外へのプログラムに参加していたのですか?

Hiroya年に一度くらいのペースでバスケットボールキャンプなんかには参加させてもらってましたね。過去にはサンフランシスコ以外にフロリダやロサンゼルスなんかでも練習や合宿に参加したことがあります。

N特に印象残ってる経験などはありますか?

Hiroyaサンフランシスコでの初の試合もかなり印象に残っていますが、決定的だったのは16歳のときに参加したフロリダでの遠征です。そこで出会ったアンソニー・ジャクソン(現、フロリダTech大)という選手がぼくのアメリカへの挑戦を決定的にしてくれました。彼は大学バスケの選抜に名を連ねるような選手にも関わらず、英語すらわからないぼくに親切にバスケを教えてくれました。そのとき彼のプレーに魅了され、自分もアンソニーみたいな選手になってやる、彼とプレーするんだ!と思いこれがアメリカへの気持ちをより強くしました。

Nその後スラムダンク奨学金への挑戦もファイナルで惜しくも落選。このときアメリカに対する気持ちの変化はありましたか?

Hiroya逆に燃えましたね、スラムダンク奨学金に落ちてもアメリカへの気持ちがなくなるほどぼくの意思は弱くなかったんです。もっとやってやろうって。

Nではポートランドに来ようって決めたのはこのあと?

Hiroyaはい、まず120%バスケットボールに専念できる環境づくりをしたいと思い毎日パソコンとにらめっこしたり、現地での経験がある方にお話を聞いたりしました。 そこで留学生に住みやすい街で、都会過ぎず、田舎すぎず、交通の便もしっかりしているというまさにパーフェクトな条件が揃ったのがポートランドでした。

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Nポートランドコミュニティカレッジ(PCC)のバスケチームのレベルどうでしょう?

Hiroyaこれもポートランドを選択したひとつの理由なんですが、PCCはNWACAという30校近いリーグで前年優勝を果たしたチームなんです。その後優勝メンバーの大半はディビジョン1(大学1部リーグ)の学校へ編入していました。自分もディビジョン1でプレーしたいという目標が当初からあったので、強いチームを選ぼうと思い、前年度チャンピオンのPCCを選びました。

N聞くところによるとPCCでは最初は選手として入れてもらえなかったようですが本当でしょうか?

Hiroyaそうなんです、トライアウトの最終日(日毎に削られてく)まで残ってはいたものの最終的には選考から落選してしまいました。
しかし、このままでは終われないと思い、合格発表の直後、全員が解散したあと1人監督室へ出向きコーチたちに直訴してとりあえずマネージャーとしてチームに入れていただきました。

Nじゃあしばらくはバスケットボールすらできない環境だった?

Hiroyaはい、全体練習の間はマネージャーという扱いなので選手たちのサポートに徹していました。自分は練習はコートの空いた全体練習の後、練習相手がいないのと目の前で楽しそうにバスケをする選手たちをみていてただひたすら辛い毎日でした。

N驚きですね、そこからどうやって選手としてポジションを確立したのでしょうか?

Hiroyaシーズンがはじまった途端ケガ人が出たため、チームにメンバー補充が必要になりました。そのときにヘッドコーチからオファーをいただき他の選手より数週間遅れて正式なプレーヤーとしてシーズンインすることができました。
日頃のサポートや練習している姿を見ていてくれていたんだと思い、これまでやってきてよかったと思いましたね。

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Nそして選手として晴れて表舞台に立ち、4ヶ月のシーズンを終えてみて今シーズン得た感覚みたいなのはありましたか?

Hiroyaはい、残念ながら今シーズンチームは6位で決勝トーナメントに出場できず悔しい思いをしましたが、一戦一戦たたかっていくなかで確かな手応えとアメリカでやっていけるという自信をつけることができました。

N具体的に例をあげるなら?

Hiroyaまずは自分の持ち味であるスピードですね、他の選手たちよりも抜きん出たスピード力が持ち味なので、その面では通用したなと感じました。もうひとつは日本人らしい(?)判断力です。どんなに熱くガムシャラになったときでも常に冷静さを欠かさない、これがゲームの流れを大きく左右すると思っています。自分は司令塔であるガードというポジションでプレーさせてもらっているので、より一層冷静さと判断力だけはしっかり持とうと心がけて毎試合ゲームに臨んでいました。

N何戦も戦い手応えを掴めたわけですが、課題も見えましたか?

Hiroyaはい、もう課題だらけでしたね。まずはフィジカル面です。2メートル近い選手たちと対等に戦うにはまだまだ弱さを感じました。中へシュートしに切り込んでいっても相手は捨て身で当たってくるので少しでも大きな選手が来ると競り負けてしまうというシーンが何度もありました。シーズンオフに入りすでに肉体改造にも取り組んでいて、とにかく当たり強い身体を作って次のシーズンを迎えようと思っています。

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Nやはり30センチ近く差のある選手たちを相手にするのには苦労しましたか?

Hiroya苦労しましたね。背が低いということは嫌ではないんですけど、でかいに越したことはないと思いました。どれだけスピードで中へ切り込んでいけても、シュートを打ち込むゴールは3.5メートルも上です。当然ダンクシュートができたほうが有利ですし、普通にシュートを放つにしても相手の大きな壁が立ちはだかるので大きい選手の方が有利だなと感じました。

なによりアメリカのバスケットボールはディフェンスはできて当たり前、ポジションに関係なく、とにかく得点力のある選手を重宝します。自分自身シュート率自体は悪くなかったんですけど、身長差でゴールを阻まれたプレーが何度もありました。

Nでは練習は半年後のシーズンインに向けて肉体強化を中心に?

Hiroyaそうですね、午前中に筋肉トレーニングなどの練習をして、昼間は授業があるので学校に行き、夕方から夜にかけてひたすらスキルトレーニングやシューティングをしています。休日は朝6時頃からトレーニングをして、昼から技術練習をする。なんて日もあります。

N素人の私からするとやりすぎなような気も(笑)

Hiroyaいえ、毎週必ず1日はオフの日を設けています。体のケアをしたり、それと学校の課題に追われる日が絶対にでてくるので(笑)

Nシーズン中、語学の面でネックになることはありましたか?

Hiroyaシーズンに入る3ヶ月前に渡米して、環境に慣れてからシーズンを迎えたのでそこまでネックになることはありませんでした。とはいえ、渡米して数ヶ月だったので、たまにコーチたちが話すミーティングの内容を理解できないときもありましたが、そのときはミーティング後に監督室へ自分で出向きコーチにミーティングの内容を確認しました。コーチ陣もチームメイトたちもぼくがわからないときは一から丁寧に説明してくれたので本当に感謝しています。

Nではそんな香東くんの今後の目標を教えてください。

Hiroyaまずは大学の一部リーグであるD1(西側ならUCLA, USC, オレゴン, アリゾナなどが有名)の大学のチームに加わることです。そのためにはいまのコミュニティカレッジでもう1年プレーできるので、そこで活躍しないといけません。なので、オフシーズンであるこの時期しっかり準備して次のシーズンに臨みたいと思っています。
最終目標はやはりNBAでプレーすること、これに尽きます。

N最後にアメリカ挑戦を目指す子ども達と日本のバスケットボールファンへ一言お願いします。

Hiroyaアメリカ挑戦を目指す子ども達へ
アメリカの大学ではバスケをしていく上で勉強との両立は避けては通れません。なので今のうちから計画をしっかりと立て実行していくことが大切だと思います。周りの声に流されず自分のビジョンを出来るだけ明確に持ち頑張ってください。

Hiroya応援してくれる日本のバスケットボールファンのみなさんへ
自分にはまだまだ大きな目標があるのでこれからも支えてくれている方々に感謝しプレーします。どうか今後も応援よろしくお願いします!!!

PCCのバスケットチームの試合は11月から3月までがレギュラーシーズン。今年は彼の活躍を観に是非会場へ足を運びたい。
インタビューを終えたあと、香東くんがシーズン中使用していた靴を2足みせていただいた。

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左のシューズが試合用右のシューズが練習用と履き分けているそう。

そしてこちらが本人の手。

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よく見ると指の形が違う。聞いたところ、度重なる突き指から右の中指と人差し指が変形してしまったそう。

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そして、シーズン中欠かさず持ち歩いていたというお守りまで公開していただけた。
試合の日はこれがないと落ち着かないそうです。
少し裏話になるが、バスケ少年の香東くんもコートの外ではコテコテの関西人、取材中は終始笑いが取れなかったらどうすればいいんやろなどとつぶやきながらインタビューに答えていただき、やはり彼も19歳の関西人なんだと少し安心した(笑)
また、シーズンがはじまったらバスケチームの取材を含めた記事を載せたいと思っています。お楽しみに!

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読んでいただきありがとうございました。

Shogo.N

 

Portland Community College Team

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