• 国際事業開発オフィサー

  • Mitsuhiro Yamazaki

  • INTERVIEW

  • Writer Tsubo

  • Photographer Tsubo, Fumiko

  • Editor Ryoma

伝播させる、創造都市の熱望【第3部】日本での新たな仕事への挑戦編

ここまでダイジェスト版を含め、連載してきたPortland Development Commission(ポートランド市開発局:以下PDC)の山崎満広さんの記事。今回はダイジェスト版での第3部、日本での仕事について現地での様子と共に紹介していきます。

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近年、ポートランドの人気はアメリカに留まらず、日本、そして世界各国でも注目されてきている。毎月数百の日本人が街を訪れるほか、大手企業が現地の企業とパートナーシップを結んだり、地方自治体がまちの仕組みを調査に来たり。

そんな中、計画的な街の開発の鍵となっているPortland Development Commission(ポートランド市開発局:以下PDC)は成功例として取り上げられることの多い自らの「まちづくりのシステム」をビジネスとして世界に出していく戦略に打って出た。

今回はPDCで唯一の日本人職員で、国際事業開発オフィサーとして働いている山崎満広氏の日本での仕事を取り上げていく。

1. 「We build green cities〜ポートランドを世界へ。」
2. 民間発信で未来を創っていく。
3. 日本での仕事を通じて。

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We build green cities 」。世界中が注目する中、先陣を切ったのが千葉県柏の葉地区だ。2005年に三井不動産によってスタートした「柏の葉スマートシティ」のプロジェクトは2012年から同プロジェクトチームと共に「環境先端技術と心地よい暮らしデザインの融合により、世界の未来像をつくる」ことを目指し、2014年には日経優秀製品・サービス賞 「最優秀賞 日本経済新聞賞」を受賞した。

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Mitsuブランディングとかそういうものじゃなくてまず初めに「何のための町なのか考えましょう」っていうところから戦略計画を作り始めました。「今住んでいるその人たちが幸せになるようにしましょう。」ということを伝えて、計画には住民や地域で働く方々、多くのステークホルダーの意見をたくさん入れて、街のデザインに落とす。さらにポートランドのいいところ、柏の葉地区のいいところ、これから来るべき企業の必要な建物とか公共空間オープンスペースとか歩道、道路の広さとかそういうの全て話し合って絵に落として計画をつくりあげました。

 

MitsuPDCでは職員自らが構想や戦略計画をたてては、「その構想、こうやったら経済が伸びるんじゃないか」っていうアイデアを出して、さらにアイデアを各産業と共有して「お互い力を合わせてその産業を伸ばしましょう」と推進していきます。
その産業促進の一部として、ポートランドの輸出を伸ばすにはポートランドが一番強みにしている、環境建物とか環境開発を世界中に売り込むべきだっていう事業計画を着くって、ブランド化してウェブサイト作って、海外に発信しています。

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Mitsuいろんな企業が日本から声をかけてくれて、それはよかったんですが、僕が個人的にポートランドのまちづくりの素晴らしさを伝えたいと思っていた日本の地方自治体とはなかなか仕事をすることが出来ませんでした。多くは個人的にやりたい人や企業がいても、主体となる役所がなかなか僕たちを受け入れてくれなかったんです。

「多くの人は話しを聞くが、具体的に実行する気持ちや決断権を持っていない。」
そんな山崎の元に和歌山県有田川町から連絡が届く。
「有田川を日本で最も住みたいまちにしたい。」
25年後の2040年、まちは人口の30%、1万人近く減少すると予想されていた。

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(引用元Aridagawa 2040)

ARIDAGAWA Field Work from まっくす on Vimeo.

まちを歩き、実際に感じたことから「どこで、誰に、どんなアプローチで」を整理し、仮説を立て、有田川の魅力や直面する問題を再確認していく。

取り組みのテーマに「暮らして楽しいまちづくり」を掲げる中、ポートランド市開発局のエイミー・ネイギー氏は「まちに女性の活躍するイメージが出来ない」とコメントした。
そこで糸口として考えたポイントは「女性に暮らしやすいまち」。減り続ける人口をなんとかして現状維持、更には増加させてきたい。そのためには20歳から39歳の若年女性人口が町外に転出していくことを防ぐ必要があった。

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(引用元Aridagawa 2040)

では具体的にどこでどんな取り組みをすればよいのか。まちの拠点として上がったのは廃園が予定されていた保育園だった。7月の訪問の後、有田川チームをポートランドに招き、現地でのフィールドワークや7月の訪問で出たキーワードを元に有田川の中でもワークショップを行われた。

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(引用元Aridagawa 2040)

まちに対して1つの立場からの視点ではなく、女性視点から「暮らして楽しいまち」を目指すため、「おしゃれ、カワイイ、楽しい」をまちに増やしたいと考える女子の意見を募ったり、まちで働く男たちによる変人(変な人ではなく、まちに変革を起こす人)チームではポートランドのようなクリエイティブなアイデアを自らの手で実行に移したりと住んでいる人たちが自分たちでまちを良くしようという動きが起こり始めていた。
ここに再び、山崎を始めとするポートランドチームのサポートが加わっていく。2回目の訪問は3ヶ月後の10月。PLACE STUDIOとPropel Studioというポートランドのアーバンデザイン会社のマネージャー陣などと共に、変革のキーとなる場所を変えていくためのワークショップが開催された。

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(引用元Aridagawa 2040)

参加者は延べ80人、まちに住むお母さんから地元の農家の方や公務員の、そして将来有田川に帰郷したいと思っている学生まで幅広く集まり、それぞれがポートランドからのスタッフと共にアイデアを出し合った。

~Portland’s Tips~ 「役割りカード」

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(引用元Aridagawa 2040)

「こんなのあったらいい。」のアイデア出しと共にポートランドでも使われているのが「役割カード」。束になったカード一枚一枚に、企業家・主婦・おじいちゃん・病院の先生・ニートな若者などと異なる役割があらかじめ記載されており、一人一枚カードを引く。普段の職業や立場の違いだけでなく、普段とは異なる立場にあえて思考を転換させることで、さらに多面的な発想が膨らむようにする仕掛けの一つ。

「今から自分たちにできることは何か。」ポートランドチームとのワークの中で生まれた取り組みは早速、「ありがとう田殿保育所」というイベントで保育所を有田川のこれまでとこれからを繋ぐ場所として、集え、楽しめる場所としてその歩みを始めた。

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最後に有田川のプロジェクトの中でまちに感じたこと、またポートランドチームにどのような影響があったかを聞いた。

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今回の取り組みの中で感じた有田川の一番の特徴は、官民の壁を越えた町全体の一体感でした。人口2万7千人の小さな町がこれからを担う若い世代を軸に、ターゲットとしている若い女性コミュニティの欲しがっているちょっと立ち寄ったり、気軽に創作活動ができる場所や起業の機会などを一つ一つ作り上げようとしている。もちろん町全体ががらりと変わるには何年もの時間がかかると思います。でも有田川の町の雰囲気の変化は既に感じられます。

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(引用元Aridagawa 2040)

将来、有田川での成功体験はポートランドのデザインチームにとってすごく重要な経験です。現在、世界中で大都市の人口集中、環境問題、高齢化、地方都市の人口減少などの問題は起き続けています。その中で、群を抜いて先頭を突っ走っているのが日本です。その課題先進国日本で、しかも有田川のような小さな地方都市で若年層の女性が働きながら、子育てをしながら心地よく暮らせ、多様なコミュニティーでリーダーシップを発揮できるようなそんな政策や町をデザインするお手伝いをさせてもらったこと。この経験とノウハウは必ず日本の、そして世界の地方都市の課題解決の糸口に繋がるはずです。

第1部:全米一住みたい街での挑戦(リンク)
(ポートランドのまちづくり、これからのポートランドに興味のある方)

第2部:苦しみ、貪欲に結果を求めた学生時代(2016年9月公開予定)
(山崎さんの過去、アメリカ留学、海外での仕事に興味のある方)

第3部:日本での新たな仕事への挑戦(本記事)
(日本での山崎さんの仕事、日本でのまちづくりに興味のある方)
先日、山崎さんの著書の販売もスタートしました。

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山崎満広著「ポートランド 世界一で一番住みたい街をつくる」
学芸出版社

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