第六弾は、着物の着付け講師をしているTakako Watanabe Elting さんを紹介します。
ポートランドで着付け講師としてのキャリアをスタートさせたTakakoさん。
「着物を通して日本を知ってもらいたい」と話す彼女に、着物と出会ったきっかけ、アメリカで着付け講師になった理由を伺ってきました。
海外に出ることで、日本を意識しはじめた
N孝子さんがポートランドに来たきっかけを教えてください。
Takako2007年3月から1年間、ポートランドにある公立小学校で日本語教師のインターンとして働くために渡米しました。高校時代にオーストラリアとイギリスへ語学研修に行った経験もあり、もともと海外に興味があったんです。
大学を卒業してから、日本で両親の経営している保育園で乳幼児教育に携わっていて、英語や海外の教材をその保育園に取り入れたいという想いがありました。海外の教材って、たとえばカレンダーひとつとってもカラフルで可愛くていいなって。
そのために、まずは自分が海外に出て、海外の幼児教育や英語について勉強したいと考えていました。アメリカの幼稚園の短期研修などへの参加経験はあったのですが、1年間留学したいとずっと思っていました。そして、そのチャンスが巡ってきたのです。
そこで現在の主人と出会い、日本に帰国後3年間ほど遠距離での生活をしました。帰国して1年後に結婚をしましたが、まずは自分が学んだことを日本の保育園に持って帰りたかったんです。
日本でやるべきことを終え、仕事の引き継ぎをしてから、主人のいるポートランドへ再渡米しました。
N着物とはどうやって出会いましたか?
Takako趣味で海外旅行をしているとき、自分は「日本について何も知らないな」と感じました。そこで茶道や生け花を習い始めたことが着物との出会いです。
主人と結婚後ポートランドに来てからも、すぐに茶道の教室に通いはじめました。そこで着物を着ようとするのですが、アメリカでは美容室に行っても日本のように着付けはしてもらえませんよね。
それで「自分で着物を着られるようになりたい!」と、インターネットや本で着付けについて勉強しはじめました。
ちょうどその頃、日系人の方々が運営している「Mochituki」というお正月イベントに実行委員として携わることになりました。
小学校で日本語教師のインターンをしていたときお世話になっていたホストファザーが、このイベントの実行委員をしている方で、声をかけてもらったんです。
日本のお正月イベントということで着物を着て行ったのですが、イベントスタッフの誰も着物を着ていませんでした。
せっかくの日本のイベントだし、着物を着たほうが華やかになると思い、翌年から数名の友人らに声をかけ、着物を着てボランティアスタッフをしてくれる人をコーディネートし始めました。
着物を着て出かける機会も増えてきたことから、「ポートランド着物倶楽部」という着物を楽しむ会も立ち上げました。
ご縁に恵まれスタートした着付け講師への道
N着物との関わりが深くなっていきましたね。ここから着付け講師になるまでは、どのような道のりだったんですか?
Takako着物を着る機会は増えてきましたが、自分の着姿には不満がありました。時間が経つと崩れてきてしまったり…
せっかくならきちんと着れるようになりたいと、着付けの先生を探しはじめました。
そこで「鞠小路スタイル」に出会いました。「鞠小路スタイル」の着付け講師養成コースを修了した方の着姿がとても素敵で、ぜひ、この着付けを習いたいと思いました。
連絡をとってみたところ、代表の先生がちょうど海外に出たいと考えていたタイミングだったようで、ポートランドまでレッスンに来て下さることになりました。
ご縁に恵まれましたね。
私はアメリカで生活していて「日本人として何ができるだろう」と常に考えていました。
「ポートランド着物倶楽部」はじめ、周囲の方から着物・着付けについて教えてほしいとの声も上がっていたので、着付け講師としてのキャリアをスタートさせることにしました。
同時に、大学で着物についてレクチャーする機会をいただいたり、イベントで着付けのデモンストレーションをする機会をいただいたり、着物を通して、海外の方に日本を知ってもらうための活動の場が増えていきましたね。
N自由な街ポートランドといえど、着物で歩いていたら目立ちそうですが、街ゆく方々の反応はいかがですか?
Takakoありがたいことに、老若男女問わず、様々な世代の方が声をかけてくださります。
先日、横断歩道を渡っていたときに信号が変わりそうになり「信号が赤になるけど、あなた走れないわね、どうする?」と言われたんです。そこで「いいえ、走れるわよ。」と走ってみたところ、とても驚かれました。笑
オレゴンは日本語教育に力を入れていますよね。日本に関係したイベントも多くあります。
そのせいか、好意的にみてくれている方は多いのかな、という印象です。
Nなるほど、ますます活躍の場が広がっていきそうですね。今後の目標はありますか?
Takako着物を総合的にプロデュースするようなことを、ビジネスとしてやっていきたいと考えています。たとえばアメリカでは着物をクリーニングに出すことも難しいので… 様々なニーズに応えていけるような活動をしていきたいですね。
もちろん今まで通り、様々な場で着物を広めていくような活動も続けていきたいと思っています。
とにかく前向きなパワーあふれる孝子さん。着物についてお話しているときは一段と輝いていました。ポートランドで着物姿の女性に出会ったら、きっとその方は孝子さんかも?
プロフィール
茶道、生け花を通して着物と出会う。渡米後、「鞠小路スタイル」着付け講師養成コースを終了。その後、着付け講師としてのキャリアをスタートさせる。現在は、着付け講師をしつつ、着物を通して日本を知ってもらうことを目的に、様々な場所でデモンストレーションや着物についてのレクチャーを行う。PJG(Portlnd Japan Girls)という、ポートランド近郊に住む日本人女性交流の場の会も主催する。