「白い紙袋に包まれたチキンとライス 」人々を虜にした一品のタイ料理 「Nong’s Khao Man Gai」

ポートランドはダウンタウンの小さなフードカートからスタートしたお店は
「白い紙袋に包んだチキン、ライス、ソース」
たった3つのコンビネーションで食にうるさいポートランダーの舌を虜にした。
平日は毎日パスタを湯がくほど食に疎い僕、Tsuboもその一品に魅せられた一人。
今回はその一品が出来上がるまでの話をメインでしてみようと思う。
普通のままでも美味しいのだけれど読み終わった時にちょっぴりでも味を深く感じてもらえると嬉しい。

写真:1

「私はまだ多くのことを知らなかった、知っていたのはどうやって仕事と食を手に入れるかだけだった。」

初めて彼女がポートランドの地を踏んだ時、
持っていたのは現金$17とたった2つのスーツケースだけだった。
多くを知らない異国の街で彼女は独りになり、帰国か新たな生活かの選択を迫られた。

写真:2

「チキンとライスのコンビネーションに可能性を感じたの、仕事終わりに毎晩様々な鶏肉とご飯を組み合わせてベストなコンビを探したわ。」

一品のタイ料理に可能性を感じ、彼女は自らの人生を賭けることを決めた。

写真:3

「初めて手にしたカートの中にはたくさんのゴミが詰まっていたの、今ではたくさんの思いが詰まっているわ。」

今やPSU(ポートランド州立大学)前に2店舗目のフードカート、サウスイーストにはレストランを構える。ノングのソースはスーパーでも販売され、全米の他の州にお店の計画もしている。

写真:4

「ノングズカオマンガイ(Nong’s Khao Man Gai)」オーナーのノング(Nong)がポートランドを訪れたきっかけは当時タイで付き合っていた彼氏がポートランドの大学に通っており、彼氏と共にポートランドへ来たのが初めだった。
英語の勉強をした経験などなく、多くのことを知らぬまま、この地で生活することになった。

写真:5

しかしその生活は長くは続かなかった。彼氏と別れることになり
ノングは2つの選択を迫られた。タイに帰るか、この場に残るか。ポートランドに来てからも学校に行くことはなく全くと言ってもいいほど英語は話せない状態。そんな彼女が選んだのはポートランドに残り生活するという道だった。

「タイに戻るという選択肢は自分の中ではほとんどなかった。家庭は貧しかったし虐待もあったから。それに私はアメリカについてまだ多くのことを知らなかった。知っていたのはどうやって仕事と食を手に入れるかだけだったわ。」

新たな土地で何もないところから人生をやり直そうとした彼女だったが現実は甘くなかった。多くの人が英語を喋れない彼女にチャンスをくれなかったという。

写真:6

そんな中、彼女がたどり着いたのがポートランドのタイ料理レストラン「Pok Pok 」。行く末の見えない彼女を支えたのがヘンドリーだった。ノングが自らのお店を営む今もなお、彼は大切なスタッフの一人としてお店を手伝っている。

写真:7

「市民権を自ら取って、月曜から日曜まで休むことなく働く中で必死にお金を貯めた。どんな将来が待っているかなんて全く想像が出来なかったわ、ただ仕事へ足を運ぶ毎日だった。」

Pok Pokでの5年間の仕事経験はたくさんのことを彼女に与えた。「お客さんが何を考えているか」「何が必要なのか」、そして何より次の仕事への自信を彼女は手にする。

写真:8

彼女が始めたのはタイ料理の一つである「カオマンガイ(Khao Man Gai)」のフードカートだった。

「チキンとライスのコンビネーションに可能性を感じたの、仕事終わりに毎晩様々な鶏肉とご飯を組み合わせてベストなコンビを探したわ。」

約6ヶ月の期間を経てようやく彼女は納得するコンビネーションに出会うことになる。同時に彼女は販売のためのフードカートを用意する必要があった。

写真:9

ネットで見つけた$800のフードカート、必死に働いて貯めたお金を持っていた彼女に当日になって突きつけられたのは事前に話していた金額の1.5倍の$1300という請求だった。

写真:A

「手元にあったお金を払えるだけ払ったわ、その後、彼が置いていったフードカートの中にはたくさんのゴミが詰まっていたの。数ヶ月掛けてカートの中を掃除、設備が動くようにしたわ。」

2009年の春、ダウンタウンで始めたお店は開業時、お店を訪れるお客さんの数は多くなく、1日を長く感じる日々が続いた。1日の売り上げは平均$100にも及ばない日ばかりだったとも言う。

写真:B

「Pok Pokで働いていた頃と比べて収入は変わった、でも十分だったわ。始めは少なかったお客さんも地元のメディアに取り上げられた途端、驚くほど一気に人の量が変わったの!ポートランドの人は地元意識が強いこともあってフードカートのように小さなお店を積極的に応援してくれる。規模は随分大きくなったけど、フードカートでの仕事は今もなお、たくさんの幸せをくれるわ。ハードな仕事に緊張や興奮は付きものだけどお客さんはいつも親切で助けてくれるから頑張れるの。」

写真:C

ダウンタウン、エルダーストリート(Alder St.)はポートランドに数あるフードカートの集まる区画の中でもトップの集客数を誇るスポットの一つだ。ダウンタウンで働く人々はもちろん、ポートランドを訪れる観光客の多くが利用する中でノングのお店は開店時には一際目立つ長蛇の列が出来る。

写真:D

定番メニューは変わらない
Chicken and Rice (Khao Man Gai:ソース、スープ付き)
(通常サイズは$8、ビッグサイズは$12、グルテンフリーにも出来る。)

白米に歯ごたえのしっかりとするプリプリのチキン、それらを引き立てる甘酸っぱいソースの組み合わせはお米が恋しくなった時はもちろん、ついついまた足を運びたくさせる魅惑の味である。セットで付いてくるスープも優しい薄味で満腹感をさらにアップさせてくれる。オススメの食べ方は上の動画を見て欲しい。
レストランの店舗ではお皿に出てくるがテイクアウトの場合、白い紙に包まれて出てくる。

: Unboxing the Nong’s Khao Man Ghai! . : 白く小さな紙袋に包まれたカオマンガイ 紙を広げる瞬間がたまらなくわくわくさせる。

大坪侑史 (Yuji Otsubo) ポートランド写真家さん(@tubotyao31)が投稿した動画 –

「白い紙に包まれて出てくるのはタイの伝統的な振る舞い方、現代では少なくなってきているけれど、これからもこの点は続けて行きたいの。」

写真:E

ドリンクとしてセットでタイアイスティー(Thai Ice Tea:$2)も頼んでおきたいところ。タイティーにたっぷりの練乳(コンデンスミルク)が入っているので甘い物が締めに欲しい人はたまらないはず。
ベトナムコーヒー(Vietnamese Coffee:$3)にはスタンプタウンコーヒーの豆が使われている。

写真:F

様々な苦難を乗り越え軌道に乗り出したお店はフードカート2店目となるPSU前店、初めてのレストラン店舗、それに合わせてエルダーストリートにはなかった新しいメニューと次々とその歩みを広げていく。作り上げられた特製のソースとその先に目指す新たな夢、立ちはだかった新たな問題。
ここには書ききれなかった裏話を含めポートランドへの思い、彼女の考えるビジネス、これからの夢についてはインタビューへ。

①DOWNTOWN店

place1003 SW Alder St, Portland, OR 97205

time月 – 金 : 10am – 4pm, 土日 : closed

web WEBサイト

その他:売り切れ次第終了
 

②PSU店

place411 SW College St, Portland, OR 97201

time月 – 金 : 10am – 4pm, 土日 : closed

web WEBサイト

その他:売り切れ次第終了
 

③RESTAURANT

place609 SE Ankeny St, Portland, OR 97214

time7 days a week: 11 am – 9 pm

web WEBサイト

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