こころにお茶を、くちびるにもお茶を———t projectに行こう

比較的気温も上がり、ただ雨だけがしとしとと降るポートランド。傘をささずに雨に濡れながら歩く潔さと束の間の晴れ間を歓迎する喜びで、しばしば心は混乱している。とはいえ、折り畳み傘は常備しているのだが。
 
そんなポートランドで、いま1つ聞きたいことがある。
 
「あなたはお茶を飲みたいか?」という問いだ。
 
それはいつでもいいし、どこでもいい。きっとそれは急を要するものでもないし、飲みたい衝動を経ても、ついには飲まないこともあるかもしれない。それでいい。
 
2回目の寄稿で慣れないために、わけのわからない前置きでお茶を濁したが、つまりはこうだ。あなたは美味しいお茶をすすって、ああと言いたいかどうかである。そんな問いに筆者はこう答える、言いたいと。
 
 
さて、お茶を飲んでうなりたい人はこのまま読み続けていただきたい。
 
 
ダウンタウンから西へ歩みを進めた後、地図アプリを頼れば、スタイリッシュなお店が姿を現わす。白に黒字、シンプルな看板が、やがて味わうことになる「それ」のクオリティを物語る。

分からなければ電話をしよう。たぶんさらにわからなくなるだろう

お店の名前はt project (ティープロジェクト)。その名の通り、お茶の専門店だ。この名の由来は、オーナーの名前のイニシャルと「TEA(お茶)」をかけているのだと、勝手に思っている。しかしまさかそんなに安直なアイデアではないだろうとも、同時に思っている。
一応真面目な話をすると、ビジネスアワーは金曜日と土曜日の12時から17時。その他の日程では、アポイントメントが必要になる。基本的には金曜日と土曜日に行くのが望ましい。足を運ぶのが億劫な人にはオンラインショップもある。

 

このお店のお茶は全てオーガニック。オーソドックスな玄米茶やスパイスの効いたお茶、さらにはリストに載っていないお茶まで提供してくるサービス精神に加え、やはりオーガニックという良質な響きがもっと香りや後味を引き立てる。またオーガニックだから食べたければ茶葉を食べることもできる。サンプルを片手に、目で見て手で触れて、注文してから飲み干すまで、五感を使って最後まで楽しめることもまた1つの魅力だろう。

物言わぬ重さがある。絵になるとはこのことか

 

筆者とオーナーとは、去年の暮れにポートランドで開催されたクラフトフェアRenagade Craft Fair Portlandで知り合った。というよりもそのお茶に一口惚れをしたと言ったほうがいいかもしれない。このクラフトフェアはポートランドだけでなく、シアトルやサンフランシスコ、シカゴやニューヨークなど、西海岸から東海岸まで全米で広く開催されている。みんな思い思いのプロダクトを売り出し、クラフトならではの自由な発想と手作りの味わいで心から豊かな気分になれる。

 
 

そんなこんなで、冬休みを経ての再会なのであった。

 
 

さあ、扉を開けよう。

 

歩道に面した側に1つだけある扉を引く。開かない、開かない、と必死こく姿を歩道に晒しながら少し顔を上げれば、扉の窓には紙が貼られている。ようやく「ベルを鳴らせ」と指示されていることに気づいたのはいいのだが、どこを押せばいいのかが分からない。そしてまた少しの間、その戦いを周囲に悟られぬよう様子をうかがいながら、そのうち諦めがついてボタンらしいボタンを押してみれば、なんだ、と中から扉が開く。人生なんとかなると大袈裟な解を得る。

 

人生をお茶に例えればなんだろうか。きっと茶柱が立てばいいってものでもない。人前で3度茶碗を回すことが必ずしも正解というわけでもないない。茶葉からしたらそんなことどうだっていいはずだ。注がれたお湯に何色をつけてどう味わったって他人からどうこう言われる筋合いはない。ルールなんてなくて、お茶はいつでも自由なのかもしれない。

 

と、自由な発想が滲むお茶を飲みながら、本当に勝手に思う。

種類の多さに目が追いつかない上にマーブルのデザインが施された容器には目が回る

 

お茶の種類も去ることながら、お茶につけられた名前もまたユニークなのである。その由来と意味を聞けばさらに味わい深くなることだろう。

理由もなく憧れる茶葉の入ったステンレス容器

店内はどこを取っても素晴らしい。日本が好きなだけあって店内に並ぶのは陶器や扇子、壁には羽織まであり、見てて飽きないものばかりだ。さらに石鹸やハンドクリームなど、ハンドメイドでローカルな「ポートランドメイド」に自然と笑みがこぼれる。なんとなくその情緒に見とれてしまう。

オリジナルの商品やスリッパまである。なんて美しいんだろう

忘れてはならないのは、ここはお茶のお店だということだ

たぶん、あなたが長居していればしているほど、その空間の一部になれる。あとから来店したお客さんとの距離、もちろんオーナーとの距離、お茶との距離、もはや現代の日本人でさえ馴染みのないものとの距離、たくさんの点が線でつながる空間になるだろう。あとから来店してきたお客さんには先輩面してもいいじゃないか。誰かの会話に入り込んだっていいじゃないか。

 

そしてなにより、日本のことが大好きなオーナーとああじゃないこうじゃないと、どこまでも話をして楽しんでほしい。
雨降りももはや麗しい初春のポートランドで、優しいぬくみと繊細なお茶。ぜひ一度足を運んでみてはいかが。

t project(ティープロジェクト)

place723 NW 18th Ave. Portland, OR 97209

time金 – 土:12pm – 5pm ※その他の日程は要予約

web WEBサイト

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電話番号:503-327-3110
メールアドレス:shop@tprojectshop.com

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